真澄の昔物語
熊坂の展望
熊坂の展望(北秋)
=真澄記=
水面には「大鞍嶋」と言って、形が倭文鞍(しつくら)に似て、大きな鯨が浮いているように見える。
それに連なって、茜が崎がある。「赤い」と言う言葉を忌み嫌う習慣があって、「いろあるやま」とも言っている。
その前に「中嶋」があって、塩釜の浦(松島)からの眺めにも勝っているようにも思える。
冑嶋、果報嶋、又の名を戒嶋と言って、おしどりが浮かんだようにも見える。
すべての島々には五葉の松、もみ、いたや、さくらなどが、ひしひしと生えている。
もはや木々の梢は色づきはじめて、言うべき言葉もない。
熊坂の展望
十和田湖の展望
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