うわばみ考(大舘)

=真澄記=。 
大子内の村長が来て、話しをした。その中に、、、、、 

「昔、大雨が降って三層滝から大蛇が出た。通った跡は大石が動き、木が折れ、根が流れるなど、こんな洪水は八十の老人でも知らないことであった。 
大蛇は「いわばみ」あるいは「うわばみ」と言い、みちのくや出羽の国では「をわばみ」と言うものであった。 

思うに、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が天蝿斬の剣をもって大蛇を切り給うことがあった。あめの出雲の国の素戔嗚尊が十握の御つるぎを持って、八岐のおろちを切り給う。 
その御つるぎの名を「天の羽羽斬」と言う。この剣は今石上の宮ところにある。 

古くは「おろち」を「はば」ろ言い、「おろちを斬る」の心だと言う。 
だから、「うわばみ」、「いはばみ」「おかはみ」みなこれ「おほはばみ」と言う言葉の変化であろう。