=真澄記=
あるじの許しを得て、若い法師を共に松峰山を巡った。たいそう嬉しい。
坂の右手より入って、「瀧の平」という山陰の原にくれば、館た遠くに見え、「保瀧沢」など面白い瀧が山陰にある。
真澄:天狗のつり橋
<天狗のつり橋>
剣が峰を過ぎて、小天狗、大天狗の岩というのも過ぎ、岩宿のように見えるところに来た。
それを「天狗のつり橋」と言って、虹のような石梁の、半ばむら雲に埋もれた頂(いただき)の、、、、、<訳なし>、、、かの天台の山の石橋にも似ている。
苺に手をつき、膝をついて目をふさぎ、心を沈めて、汗も凍る思いええ渡った。
真澄:天狗のつり橋
<籠石>
「籠石」という所の芝生を、しとしとと踏みとどろかせれば、中が空洞になっているようで、「こうこう」と鳴る。
<屏風岩>
「のぞき岩」又の名を「屏風岩」というのがある。大和の大峰と同じだ。「飛石」、「横飛(はね)石」というのもある。
右手の丘に登れば、北に長走山をはじめ、山々が高く連なり、西に田城山、腰山の十ノ瀬、近くは寒山、高森、目名市の倉ノ沢、岩瀬の赤倉嶽などが見える。
左手の近くは、山田の薬師峰など面白く見える。
<奥の院>
奥の御座の岩の間に銭がはさんである。山役といって、ひとつかみの銭を持ちながら山巡りをする行のものだろう。
ここの、えんの小角(行者)が居るように感じられる。岩に向かって
「雲車に油さす時も降雨は御衣を潤さず」
と唱えたそうだ。
はるかに、護摩の段がある。昔は紫燈がたなびいていただろう。
<座禅石>
「座禅石」というのがある。
「枝葉の扉明晴に、峰の嵐も音信し、座禅の床には紅葉を、錦のしとねに重ね敷き」
と唱えて、錫杖振り鳴らしたことだろう。
<天狗のつり橋>
剣が峰を過ぎて、小天狗、大天狗の岩というのも過ぎ、岩宿のように見えるところに来た。
それを「天狗のつり橋」と言って、虹のような石梁の、半ばむら雲に埋もれた頂(いただき)の、、、、、<訳なし>、、、かの天台の山の石橋にも似ている。
苺に手をつき、膝をついて目をふさぎ、心を沈めて、汗も凍る思いええ渡った。
薬師岩の窟と言って、南比良という所に岩屋があるが、草深く見分けられない。
寺に帰ったのは日も暮れていた。