=真澄記=
田の面の二森と言うは、いにしえの八十島のおもかげを残している。
昔はここを雄物川が流れていたそうだ。
小町は「有無の身やちらて根に八十島の霜のふすまのおもくとちぬる」
また、誰やら「おもいやる心の内のしお満ちて 袖の波こす小町の八十島」と謡っている。
見たまえ、二森は小町世に住み給いし時、深草の少将の塚を作らせ、また自らのをも、かねてこの塚にならって作らせ、「我れ世去らば、必ずここに埋めて欲しい。」と言い残して隠れ給うた。