小野小町伝説Ⅲ<「うだで」の小町> (雄勝)

=真澄記=

「うだで」とは(困った)の意味がある。 


日照り続きの年がありました。村の田や畑はみな枯れてしまった。 

人々は、小野小町に会いたくて、洪水で流され死んでいった深草少将の理にすがり、深草少将が植えた芍薬のあたりで集まり、「ことはりや日のもとなれば、、」と謡った。 

すると、雨がすぐに降ってきてその効果(しるし)をあらわし給うたそうだ。 


そこで、人々は小町姫へのお礼に供物を奉げ、女房やむすめの美しいものばかりを集めて歌を歌い、酒を飲んで賑やかにはやした。 

すると、たちまちのうち空かき曇り、やおら雨が降り出してきた。 

人々は急ぎ家に帰りましたが、雨は降り止むまず、畑の作物は波に揺られるように水浸しになってしまったそうだ。 


雨はいつあがるかわからない。しかたがないので、人々は別の神様にお祈りして、やっとやや晴れてきた。 

「これはまた、情けない小町だ」と言われたそうだ。

雄勝の小町塚

今に残る芍薬塚

深草少将の塚

二つ森遠景