真人山物語<三鷹物語>(増田)

=真澄記=

<三鷹物語> 

皆瀬川近く、雪深い磨戸山(まとさん:真人山)がある。 

この山に三つの子をもうけた鷹がいた。親鷹は朝な夕なに子をはぐくみ、餌を与えた。 

ある日一羽の鷲が飛んできて、鷹を裂いて食べてしまった。

耐えがたく思った子鷹たちは相談し合い、自らを鳩と偽って三羽助け合ってこの鷲を組み伏して捕らえた。 

古い歌に

「出羽なる平鹿の三鷹たち かへりおやのためには鷲もとるなり」

と謡われている。 


<鷹の町屋岩崎> 

外山の頂きにある家は、秋の頃、鳩をいくつも糸でつないでおく。 

そうすれば空に鷹が現れる。 

鳩は「七霞を見通す」と言って非常に目が良く、恐れて尾羽を打ち鳴らして騒いでいる。 

程なく鷹が下りてきて鳩を捕まえようとしたところを網をかぶせて鷹を捕らえる。 

「鷹の町屋」なりと言う。 

真澄:真人山

真人山と水瀬川

鍋澤の清水