小丁物語(一関)

一関大原の長泉寺にある小葉山観音は円仁大徳の作佛だ。

この菩薩堂がまだ荒れ果てていた頃、この山の麓に小丁と言う老夫婦がいた。毎日この山に登ってきて、木の実・草を採り、草の根を掘って食べ物として生活をしていた。

そして、いつも観音を拝み奉っていた。

 

あるとき山鳴りが谷に響いて、円仁大師の御加護の泉がたちまち湧いて、妖しい光が輝いた。

小丁が驚いてみると、泉の中から黄金の仏が現れた。

 

この仏を小丁が家に持ち帰り、芝棚を構えて据えて拝んだ。「我に子一人たまえ」と毎日拝んでいると、夫婦の夢に観音が現れ「汝の想いをかなえよう。」と言う。

やがて70に近い老夫婦に男の子が授かった。夫婦は尊さのあまり子供に「大夢」と名づけた。

 

大夢が大人になった時、「この仏様をこんなあばら家に置いてはいけない。」と、ここ大原の長泉寺に移し祀ったという。


<小蛇の奇事>

長泉寺の山に鋤(すき)・鍬(くわ)を入れれば、小さな蛇がどんどん湧いて尽きることがないという。いかなることか。

長泉寺

長泉寺の庭