こしべ沼の伝説(浅舞)

=真澄記= 

いつも、五月五日の端午の節句に、水が一筋立ち上って空に散る。 

また、白い帆影がどこからか映って、その数二つ三つあるいは五つ六つも映ることがある。 

この沼水に映る帆舟を見た人は、命が長くないと言われている。 


備中の国の舟岡山というところでは、田に稲を植える時、田の水へ朝日が登る頃に、山の形が映って帆掛け舟が二つ三つ映ることがあるという。 

「今朝は2艘出た」とか「三艘出し」などと土地の者が言っていると聞いた。 

きびの船岡山にも似たようないわれがある。 

出羽の国、平鹿の郡、こしべの沼も、同じようなことがあるものか。