=真澄記=
同じ下山内の村の宮地山三光院金剛寺に次の伝説がある。
この寺の上祖は宮奴の家だった。その妻は見目麗しく美しかったことから、世の評判になっていた。
砂澤の館の主人が、その妻に焦がれ、宮奴にあらぬ罪を負わせて命を奪ってしまった。
泣き悲しむ妻を自分の女をとして迎え、年月がたった。
ある夜、この女、枕元の刀をやおら抜き取り、この男の男根を「今こそあのときの報いだ。思い知れ!」と刺し貫いて逃げた。
この女、男鹿に逃げて金蔵坊栄正という賢才と再婚して、再び家を興した。
砂澤の館はやがて滅びたと言う。 また、金蔵坊には、この後神にしるしがあったと言う。
二世の三光院正神はひたすら滝に打たれる行を行い、荒滝に打たれても寒さにも凍えなかったと言う。