十腰内村の由来

=真澄記= 
境堰村の路の岩に腰をかけていると、岩木山に妙な雲がかかっている。 
連れの者が言うには、あの雲の下あたりに十腰内村というところがあるそうだ。 

昔、鬼が打った刀を「鬼神大輔」と言って9腰あって、10腰ないために、これをそのまま村の名前にしたという。 
本来は10腰打ったのだが、1振りは十腰内村の李川をいう川に沈んだという。 
その剣は今も夏の頃に、淵を通った人に飛び出て突き、身の毛もよだつ振る舞いとか。いつも夏になれば人々は恐れ、この川近くの人が立て札を立てるという。 

また、十面沢というところがあり、岩を人の顔のように十造ったところもあると言う。