唐松神社(協和)

=真澄記=

この境の村の社は、息長足姫(おきながたらしひめ:神功皇后)を祀っている。安産の神で、祈るとその霊験が著しい神として、この出羽の国第一の産霊神(うぶすながみ)として、敬い奉っている。 

「六郷祭事記」に「4月8日唐松権現祭、仙北の里にあり、別当修験光雲寺。安産の神也とて、六郷のみならず、遠方よりも女児参り湊う事群をなす。」とある。


<徳政夜話から> 

元禄の頃、徳雲院殿(佐竹義処)の息女久姫という方が、筑前の国秋月の城主黒田隠岐守長乾公のもとにお興し入れになった。 

宝永の頃、臨月となり、苦しみ、言うには、「私は出羽に国の仙北に、唐松の姫神が祀られていると聞いている。急いでこの神にお願いして、私の苦しみを助けてください。」とのことであった。 

姫に仕える男女の家来が、身を清め、出羽の国の方に向かってぬかずき、姫の安産を祈った。このおかげで、久姫は男の子を安産したとのことである。 

このお礼として、獅子頭を唐松山に奉納なされ、今もこの獅子頭は、平鹿・仙北の地を神遊びして舞めぐっている。